建設発生土の盛土材としての活用|土質基準と施工注意点
建設発生土の盛土材としての活用|土質基準と施工注意点
建設発生土を盛土材として活用することは、処分コストを削減しながら材料費も節約できる合理的な選択だ。しかし、すべての発生土が盛土材として使えるわけではなく、土質基準を満たさない土を使用すると盛土の品質不良・変形・崩壊リスクが生じる。
本記事では、建設発生土を盛土材として利用するための土質基準・含水比条件・施工上の注意点を解説し、搬入先との受け入れ交渉に必要な情報を整理する。
目次
- 盛土材に求められる基本的な土質基準
- 発生土の種類別・盛土適合性の整理
- 含水比管理と改良処理の判断基準
- 盛土施工時の品質管理ポイント
- 搬入先・受入先との調整事項
- まとめ
1. 盛土材に求められる基本的な土質基準
盛土材として使用できる土砂には、以下の条件が求められる。これは国土交通省「道路土工 盛土工指針」に基づく標準的な基準だ。
| 基準項目 | 要求値 | 理由 |
|---|---|---|
| コーン指数 | 200kN/m²以上(盛土下部は400kN/m²以上) | 盛土の安定性確保 |
| 締め固め後の密度 | 最大乾燥密度の90%以上 | 圧縮沈下の防止 |
| 均等係数 | できる限り大きいもの | 締め固め効果の向上 |
| 最大粒径 | 路床は100mm以下、路体は300mm以下 | 転圧機械の適合性 |
| 有機物含有率 | 5%以下 | 腐植による体積変化の防止 |
盛土の用途(道路盛土・河川堤防・造成盛土)によって求められる基準は若干異なる。道路盛土は「道路土工 盛土工指針」、河川堤防は「河川土工マニュアル」が適用される。
2. 発生土の種類別・盛土適合性の整理
第1種建設発生土(コーン指数800kN/m²以上)
盛土への活用: 最も適している
砂礫質土・砂質土が中心。路床材・路体盛土・裏込め材として直接使用できる。粒度分布が良好なものは路盤材の代替にもなり得る。水はけが良いため雨天施工後も品質が保ちやすい。
名古屋・愛知エリアでは宅地造成・農地整備での需要が高く、受入先から有償(1m³あたり300〜1,000円の支払いを受けられる)になるケースがある。
第2種建設発生土(コーン指数400kN/m²以上)
盛土への活用: 適している(含水比管理が必要な場合がある)
砂質土・砂礫混じり土が多い。路体盛土・埋め戻しに活用できる。施工限界含水比(wL+3〜5%程度)を超えている場合は、養生乾燥またはセメント・石灰処理が必要だ。
第3種建設発生土(コーン指数200kN/m²以上400kN/m²未満)
盛土への活用: 条件付きで可能
粘性土・シルト質土が多い。盛土下部・厚層盛土の中間部分に利用できるが、以下の条件付きとなる。
- 盛土法面を緩くする(1:1.5〜1:2.0程度)
- 排水施設を十分に設置する
- 雨天施工を避ける
- 必要に応じて表面処理(シート養生等)を行う
第4種建設発生土(コーン指数200kN/m²未満)
盛土への活用: 原則不可(改良が前提)
高含水比の粘性土・有機質土が含まれる。そのままでは盛土材として使用できず、セメント系固化材または石灰系固化材による改良が前提となる。
改良後の土は第2〜3種相当の品質になれば盛土下部・路体に活用できる。改良費は1m³あたり2,000〜5,000円程度かかる場合が多い。
3. 含水比管理と改良処理の判断基準
含水比は盛土施工の可否を左右する最重要指標だ。
施工限界含水比
施工限界含水比は液性限界(wL)に基づいて設定される。一般的な目安は以下の通り。
| 土質 | 施工限界含水比の目安 |
|---|---|
| 砂質土 | 塑性限界(wP)以下 |
| 粘性土 | 液性限界(wL)-10〜15% |
| シルト質土 | 液性限界(wL)-5〜10% |
含水比超過時の対応
| 状況 | 対応方法 | コスト目安 |
|---|---|---|
| わずかに超過(wL+5%以内) | 天日乾燥・曝気処理 | 0〜500円/m³(時間が必要) |
| 中程度超過(wL+5〜15%) | 石灰添加処理 | 1,000〜2,500円/m³ |
| 大幅超過(wL+15%以上) | セメント系固化材処理 | 2,500〜5,000円/m³ |
| 泥状(泥土に近い) | 産廃(汚泥)として処理 | 5,000円〜/m³ |
改良処理コストが高くなる場合は、第4種発生土として直接処分場に搬出するほうが安くなることもある。処分場の受入費と改良費を比較して判断する。
4. 盛土施工時の品質管理ポイント
盛土材として発生土を搬入する受入側(施工者)が確認する品質管理のポイントを整理する。
巻き出し厚の管理 1層の巻き出し厚は転圧機械に合わせて設定する。振動ローラーの場合は仕上がり厚30cmが標準。砂質土は30〜40cm、粘性土は20〜30cmが目安。
締め固め度の確認 盛土完成後は締め固め度の確認試験(締め固め度90%以上)を実施する。品質が基準に達しない場合は追加転圧が必要だ。
雨天時の施工管理 雨天・降雨後の施工は含水比が上昇して品質管理が困難になる。降雨後は24〜48時間の乾燥期間を置いてから施工再開するのが一般的だ。
5. 搬入先・受入先との調整事項
建設発生土を盛土材として搬入する際、搬入先(受入先)との事前調整が重要だ。
事前に提出する資料
- 土質試験成績書(コーン指数・粒度・含水比等)
- 土地利用履歴証明(汚染懸念の有無)
- 土量・搬入スケジュール
受入先が確認すること
- 搬入土の土質区分が自工事の盛土基準を満たすか
- 含水比が施工限界以内か
- 搬入スケジュールが施工工程と合致するか
ツチオク(/sell)では、発生土の土質情報(土質区分・含水比・土量・搬出時期)を登録すると、条件が合致する受入先から入札が届く仕組みになっている。特に第1〜2種の良質土は受入先からの引き合いが多い。
→ 盛土材を探す・発生土を出品する(/sell) → 建設発生土の種類(第1〜4種)の分類
まとめ
建設発生土を盛土材として活用できるかどうかは、コーン指数と含水比で決まる。第1〜2種は直接活用できる可能性が高く、第3種は条件付き、第4種は改良が前提だ。
含水比管理は盛土施工の可否を左右する最重要指標であり、施工限界を超えた土は養生乾燥または固化材改良が必要となる。搬入先との事前調整では土質試験成績書の提出が鍵となる。
第1〜2種の良質土は盛土材としての需要が高く、マッチングプラットフォームを通じて処分費0円以下での取引が成立するケースも多い。発生土の処分先確保は工事着工前から始めることを推奨する。
→ 公共工事の発生土再利用事例 → 建設発生土の処分費用の相場