発生土量の計算方法|掘削容積からダンプ台数までの実務手順
発生土量の計算方法|掘削容積からダンプ台数までの実務手順
工事の積算・搬出計画を立てる際に「発生土が何m³出るか」「ダンプは何台必要か」という計算を正確に行えていない担当者は意外と多い。特に土量換算係数(L値)を考慮せずに計算すると、実際の搬出台数が設計値を大幅に超えるという「現場の混乱」が起きやすい。
本記事では、設計図書の掘削数量から実際の搬出量(ほぐし土量)・必要ダンプ台数を計算するステップを、計算式と早見表を使って解説する。
目次
- 土量計算に必要な3つの基本概念
- 発生土量の計算ステップ
- 土量換算係数(L値)早見表
- ダンプ台数の計算方法
- 土量計算でよくある間違い
- まとめ
1. 土量計算に必要な3つの基本概念
概念1: 地山土量(自然状態の土量)
工事で掘削する前の、地中にある自然の状態の土量。設計図書に記載されている掘削数量はこの地山土量で表される。単位はm³。
概念2: ほぐし土量(搬出する土量)
掘削してほぐした後の土量。地山状態より体積が増加する(土粒子間に空気が入るため)。ダンプトラックに積載して搬出する際の実際の体積がこれだ。
ほぐし土量 = 地山土量 × 土量換算係数(L値)
概念3: 締め固め土量(盛土後の土量)
盛土として締め固めた後の土量。ほぐし土量より体積が減少する(締め固めにより密度が上がるため)。
締め固め土量 = 地山土量 × 土量換算係数(C値)
発生土の搬出計画では「ほぐし土量」を使う。盛土の設計では「締め固め土量」と「地山土量」を使い分ける。
2. 発生土量の計算ステップ
ステップ1: 設計図書から地山土量を読み取る
設計図書(平面図・断面図・土量計算書)から掘削数量(地山m³)を確認する。
計算例
- 掘削範囲: 幅15m × 長さ50m × 深さ3m
- 地山土量: 15 × 50 × 3 = 2,250m³(地山)
複雑な形状の場合は断面積法(各測点間の断面積の平均×距離)で算出する。設計CADデータがある場合は体積計算機能を使う。
ステップ2: 土質を確認してL値を決める
工事地点の土質(砂質土・粘性土・礫質土等)に応じたL値(ほぐし率)を採用する。L値は以下のステップで決める。
- ボーリング柱状図・地質調査報告書から土質を確認する
- 土質に対応するL値を採用する(次章の早見表を参照)
- 複数の土質が混在する場合は、各層の割合でL値を加重平均する
ステップ3: ほぐし土量を計算する
ほぐし土量(m³)= 地山土量 × L値
計算例(砂質土・L値1.15の場合)
- ほぐし土量: 2,250m³ × 1.15 = 2,588m³
ステップ4: ダンプ台数を計算する
必要ダンプ台数 = ほぐし土量 ÷ ダンプ積載量(m³)
計算例(10tダンプ・積載量8m³の場合)
- 必要台数: 2,588m³ ÷ 8m³ = 323.5 → 324台
小数点以下は切り上げる。実際には積載量が安定しないためバッファ(5〜10%増し)を見込むことが多い。
3. 土量換算係数(L値)早見表
L値は土質・工法・現場条件によって変化するが、以下の数値が実務での標準値として広く使われる。
| 土質区分 | L値(ほぐし率)の目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 砂 | 1.10〜1.20 | 均一な砂は低め、粒度幅広い砂は高め |
| 砂質土 | 1.10〜1.25 | 最も一般的な土質 |
| 礫混じり砂 | 1.10〜1.30 | 礫の割合が高いほどL値大 |
| 礫 | 1.10〜1.35 | 礫の形状・粒径によって変動 |
| 粘性土(軟) | 1.20〜1.30 | 含水比が高いと高め |
| 粘性土(硬) | 1.25〜1.45 | 硬い粘土はほぐれにくく体積増大 |
| シルト | 1.20〜1.35 | — |
| 岩(軟岩) | 1.30〜1.50 | 爆破・大割後の体積 |
| 岩(硬岩) | 1.50〜1.70 | 岩盤質によって変動 |
実務上の注意点 国土交通省の土木積算基準(令和版)では土質ごとの標準L値が示されている。公共工事の積算ではこの基準値を使うが、地盤調査データがある場合はより精緻な値を採用することが推奨される。
4. ダンプ台数の計算方法
1日の最大搬出量とダンプ台数の関係
ダンプ1台の1日の搬出回数は、現場からの距離(サイクルタイム)によって決まる。
| 片道距離 | 1台あたりのサイクルタイム | 8時間で往復回数 | 1台・1日の搬出量(8m³積み) |
|---|---|---|---|
| 5km | 35分 | 13回 | 104m³ |
| 10km | 50分 | 9回 | 72m³ |
| 20km | 70分 | 6回 | 48m³ |
| 30km | 100分 | 4回 | 32m³ |
必要台数の計算式
必要台数 = 1日の目標搬出量(m³)÷ 1台・1日の搬出量(m³)
計算例(1日500m³搬出・片道10km・10tダンプ)
- 1台・1日の搬出量: 72m³(8m³×9回)
- 必要台数: 500m³ ÷ 72m³ = 6.9台 → 7台
工事全体の搬出日数
搬出日数 = ほぐし土量 ÷ 1日の搬出量
計算例(ほぐし土量2,588m³・1日500m³)
- 搬出日数: 2,588m³ ÷ 500m³ = 5.2日 → 6日(余裕を見て)
この計算で工程表への搬出スケジュールの組み込みができる。
5. 土量計算でよくある間違い
間違い1: L値を考慮しない
設計の掘削数量(地山m³)をそのままダンプ台数計算に使うと、実際の搬出量が15〜30%多くなり、台数・費用が不足する。
間違い2: ダンプの積載量を最大値で計算する
10tダンプの最大積載量は10tだが、土砂の重量密度によって積載m³が変わる。重い粘性土(2.0t/m³)では10t÷2.0=5m³しか積めない場合がある。積載量は重量制限と容積の小さい方で計算する。
間違い3: 一日中フル稼働を前提にする
積み込み待ち・交通渋滞・現場内移動時間等でロスが生じる。実態では計算上の往復回数より15〜20%少なくなることが多いため、バッファを見込んだ計算が必要だ。
間違い4: 混在土質のL値を単純化する
砂質土と岩盤が混在する工事で砂質土のL値しか適用していないと、岩盤層の搬出量を大幅に過少見積もることがある。土質別に分けて計算する。
まとめ
発生土量の計算は「地山土量×L値=ほぐし土量→台数計算」の3ステップで行う。L値は土質によって1.10〜1.70と大きく異なるため、地質調査データに基づいた正確な値を採用することが重要だ。
計算を正確に行うことで搬出計画の工数削減・見積もり精度の向上・受入先への的確な情報提供が可能になる。搬出先の確保は早期に行い、土量・搬出スケジュールを正確に伝えることで受入先との条件交渉もスムーズになる。
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