国土交通省の建設発生土対応指針|2024年改訂のポイント
国土交通省の建設発生土対応指針|2024年改訂のポイント
国土交通省は建設発生土の適正な利用・処理を促進するための指針を定期的に改訂している。2021年熱海市の土石流災害を契機として2022年に施行された「盛土規制法(宅地造成及び特定盛土等規制法)」の影響を受け、2023〜2024年にかけて建設発生土に関する指針・ガイドラインが更新された。
本記事では、直近の指針改訂の主要変更点と、施工業者が実務で対応すべき内容を解説する。
目次
- 国土交通省の建設発生土指針の体系
- 盛土規制法施行に伴う指針の変更
- COBRIS活用義務の拡大と変更点
- 土質区分・品質基準の見直し
- 搬出先確認強化の具体的な要求
- 実務への影響と対応方法
- まとめ
1. 国土交通省の建設発生土指針の体系
国土交通省は建設発生土に関する複数の指針・ガイドラインを発行している。主要なものは以下の通りだ。
「建設発生土等の有効利用に関するガイドライン」 建設発生土の分類(第1〜第4種発生土・泥土)、有効利用の優先順位、搬出先の選定方法を定めたガイドライン。直轄工事・公共工事への適用を想定。
「建設副産物リサイクル広報推進会議」資料 建設副産物(廃棄物・発生土)の発生量・利用量の目標値と実績を管理する体制。建設業界全体のリサイクル目標も含む。
「建設発生土の適正処理に関する実態調査」 全国の建設発生土の発生量・利用先・処分量を調査した実態データ。政策立案の根拠データになる。
2. 盛土規制法施行に伴う指針の変更
2022年5月に施行された「宅地造成及び特定盛土等規制法(盛土規制法)」は、建設発生土の搬出先選定に直接影響する。
盛土規制法の主な内容
- 宅地や農地・森林など用途に関わらず、一定規模以上の盛土・土砂堆積を規制
- 災害防止のため危険な盛土等を是正する行政権限を強化
- 都道府県知事が規制区域を指定し、区域内の盛土に許可を義務化
施工業者への影響 残土の搬出先(受入地)が盛土規制法の規制区域に該当する場合、受入地での盛土許可の取得が必要になった。搬出前に「受入地が規制区域に含まれているか」「許可を取得しているか」の確認が求められる。
盛土規制法施行後、国土交通省は公共工事の発生土搬出先確認について以下の対応を求めている。
- 受入地が規制区域に含まれる場合は許可証のコピーを取得する
- 受入地が農地・山林等の場合は農地法・森林法の許可確認を行う
- COBRIS(建設副産物情報交換システム)への搬出先情報の登録を確実に行う
3. COBRIS活用義務の拡大と変更点
COBRIS(建設副産物情報交換システム)は国土交通省が運営する公共工事の建設副産物情報管理システムだ。
従来のCOBRIS義務対象 国土交通省の直轄工事(請負金額1,000万円以上)
直近の変更点
- 対象工事の規模要件の見直し(小規模工事への拡大を検討)
- 搬出先確認情報の入力項目の追加(盛土規制法許可番号等)
- 都道府県・市町村が発注する公共工事への準用推奨の強化
地方自治体が発注する工事でもCOBRISまたは同等の情報管理を求めるケースが増えている。
COBRISの主な活用方法
- 工事受注後に「搬出工事」として登録(発生土量・搬出時期・搬出先等)
- 近隣の「受入工事」(他の公共工事)とのマッチング機能を活用
- 搬出完了後に実績を入力(搬出量・利用先の確認)
COBRISへの登録は義務だが、マッチング機能の活用は任意だ。しかし、COBRIS内で受入先が見つからない場合に民間マッチングプラットフォーム(ツチオク等)を併用することは可能だ。
4. 土質区分・品質基準の見直し
国土交通省のガイドラインでは建設発生土を以下の5区分で分類している。
| 区分 | 特徴 | 主な利用先 |
|---|---|---|
| 第1種発生土 | 礫質土・砂質土。建設発生土の中で最高品質 | 高盛土・道路盛土の路体材 |
| 第2種発生土 | 細粒分混じり砂質土 | 一般盛土材・宅地造成 |
| 第3種発生土 | 粘性土・砂質土(通常の含水比) | 一般盛土材(条件付き) |
| 第4種発生土 | 高含水比粘性土・膨張性土 | 改良後に利用 |
| 泥土 | 浚渫土砂・掘削土砂 | 脱水・改良後に利用 |
2024年のガイドライン改訂では、第4種発生土の改良処理基準(石灰系・セメント系固化材の適用条件)が明確化された。また、泥土と汚泥の区分判断基準が改訂され、汚泥(廃棄物処理法の対象)と泥土(発生土として利用可能)の境界が明確化された。
5. 搬出先確認強化の具体的な要求
2024年以降の指針・通知では、搬出先確認の具体的な要求レベルが上がった。
確認すべき事項(国交省直轄工事の場合)
- 受入地の土地利用種別(農地・山林・造成地等)と地番
- 受入地が盛土規制法の規制区域に含まれるかの確認
- 規制区域内の場合は盛土許可証のコピー取得
- 農地への搬入の場合は農地法上の許可確認
- 受入地所有者(または管理者)との書面による合意
- COBRIS上での受入地情報の登録
提出書類の変化 従来は「搬出先の名称と住所」の記録で足りていたケースが多かったが、近年は許可証・合意書の写しを工事書類として保管する要求が増えている。
6. 実務への影響と対応方法
施工業者が今すぐ対応すべき3点
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受入地の法令確認を出品・搬出前に行う 盛土規制法の規制区域マップは都道府県が公開(または準備中)。受入地の住所で規制区域の確認を行う。
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農地・山林への搬入は必ず許可確認をする 受入地が農地または山林の場合、農地法・森林法の許可確認を受入者に求める。確認書類を保管する。
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COBRISへの登録を遅延なく行う 公共工事の場合、工事受注後速やかにCOBRISに登録する。搬出先変更があった場合も速やかに更新する。
民間工事ではCOBRIS義務はないが、同等の搬出記録管理を自主的に行うことが法令リスク回避につながる。
まとめ
国土交通省の建設発生土指針の直近の変更で最も重要な点は2つだ。
- 盛土規制法(2022年施行)の影響により、搬出先(受入地)の法令許可確認が実質的な義務になった
- COBRIS登録義務の範囲が拡大し、搬出先情報の登録精度と速度が求められるようになった
施工業者は「搬出先の住所を記録する」だけでは不十分で、「搬出先の法令上の許可状況を確認し証拠を保管する」というステップが追加されている。これは法令リスク回避と、行政調査への対応力の向上につながる。
免責事項: 本記事は一般的な情報提供を目的としており、法的助言の代替となるものではありません。建設発生土の処理に関する法令対応については、最新の法令・行政通知を確認の上、弁護士・専門家または所管官庁(国土交通省・都道府県建設担当部局等)にご相談ください。