実務・計画

自治体の建設発生土ネットワーク|公共-民間連携で受入確保

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自治体の建設発生土ネットワーク|公共-民間連携で受入確保

建設発生土の搬出先を確保する方法として、民間マッチングプラットフォームと並んで活用できるのが、自治体(都道府県・市町村)が運営する建設発生土情報ネットワークだ。

本記事では、自治体ネットワークの仕組みと活用方法、民間マッチングとの使い分け、愛知県・名古屋市での活用事例を解説する。


目次

  1. 自治体の建設発生土ネットワークとは
  2. 国交省COBRISと自治体ネットワークの違い
  3. 愛知県・名古屋市の発生土情報システム
  4. 自治体ネットワークの活用手順
  5. 公共-民間連携の実例
  6. 民間マッチングとの使い分け方
  7. まとめ

1. 自治体の建設発生土ネットワークとは

自治体の建設発生土ネットワークは、都道府県・政令市が地域内の建設発生土の発生・受入情報を収集・提供する情報インフラだ。

主な目的

  • 地域内での建設発生土の有効活用を促進する
  • 処分場への不要な搬入を削減する
  • 建設業者・農家・造成事業者の間の情報格差を解消する

仕組みの概要 発生側(建設業者・公共工事施工者)が発生土情報を登録する。受入側(造成業者・農家・農業委員会等)が受入条件を登録する。システムが両者をマッチングする、または担当者がマッチングを仲介する。


2. 国交省COBRISと自治体ネットワークの違い

項目 国交省COBRIS 自治体ネットワーク
対象工事 国交省直轄工事(義務)・地方公共団体工事(推奨) 地域内の公共・民間工事
運営主体 国土交通省 都道府県・政令市
民間工事 対象外(任意の情報提供のみ) 取り込む場合がある
農地整備との連携 限定的 農業委員会との連携が強い場合あり
情報公開 工事間の情報共有(部分公開) 地域によって公開範囲が異なる

自治体ネットワークはCOBRISの補完として機能する。COBRISで受入先が見つからなかった場合に自治体ネットワークを活用する、という使い方が典型だ。


3. 愛知県・名古屋市の発生土情報システム

愛知県の取組 愛知県では「建設発生土等活用情報システム」を運営している。県が発注する土木工事の発生土情報と、農地整備・造成工事での受入情報を登録・共有する仕組みだ。

活用できる主な機能:

  • 発生土情報の登録(工事名・発生量・土質・搬出時期)
  • 受入情報の登録(受入地・受入可能量・受入可能期間)
  • 情報の検索・照会(登録業者・行政担当者が利用可能)

民間工事の発生土も任意で登録できる。農業委員会を通じた農地整備との連携事例も存在する。

名古屋市の取組 名古屋市では市が発注する建設工事の建設副産物管理にCOBRISを活用しつつ、市内の残土受入地に関する情報を建設業者向けに提供している。

また、名古屋市内での大型再開発(UR都市機構・民間デベロッパー等)に伴う大量発生土については、市が受入地の調整を仲介するケースもある。


4. 自治体ネットワークの活用手順

ステップ1: 所管の担当部署に問い合わせる 自治体ネットワークは自治体によって仕組みが異なる。まず施工現場の所在自治体(都道府県・市町村)の建設担当課・農業委員会に「建設発生土の情報ネットワーク」があるかを問い合わせる。

ステップ2: 発生土情報を登録する ネットワークが存在する場合、担当窓口から登録方法の案内を受ける。登録情報:工事名・発生土量・土質・搬出時期・連絡先。

ステップ3: 受入候補からの連絡を待つ 登録後、自治体担当者が受入候補と照合・仲介を行う場合と、受入候補が直接発生側に連絡する場合がある。

ステップ4: 直接交渉・合意 受入候補と直接交渉し、受入条件(搬入日時・土質制限・受入費等)を確認の上で合意する。


5. 公共-民間連携の実例

事例: 愛知県稲沢市・県道改良工事の余剰土を農地整備に活用 県が発注した県道改良工事(発生土約4,200m³)を、市内の農業法人が圃場整備(畦畔除去・均平化)に活用した事例。

愛知県の発生土活用情報システムに工事情報を登録し、農業委員会経由で農業法人に情報が届いた。農地側では農地法上の届出を農業委員会が代行支援し、スムーズに搬入合意が成立した。

処分場搬入と比較して搬出費用を約350万円削減。農業法人側は客土費用をゼロにできた。

事例: 岐阜県各務原市・民間造成の余剰土を近隣農道整備に活用 民間デベロッパーの工業団地造成(発生土約18,000m³のうち余剰7,000m³)を、各務原市が管理する農道整備工事の盛土材として活用した事例。

市の農林担当課が仲介し、農道整備の設計変更(盛土材の変更)を行い受入れた。盛土材の調達コスト(市側)と残土処分費(民間側)を同時に削減した。


6. 民間マッチングとの使い分け方

自治体ネットワークと民間マッチング(ツチオク等)の使い分けの目安を整理する。

状況 推奨するアプローチ
公共工事・COBRIS義務がある COBRISに登録 + 受入先が見つからない場合に自治体ネットワークを活用
公共工事・農地整備との連携を希望 自治体ネットワーク(農業委員会との連携が強い)
民間工事・速やかに搬出先が必要 ツチオク(登録後すぐに入札を受け付けられる)
民間工事・SDGs・CSR報告が必要 ツチオク(取引記録が証拠として残る)
大量発生土(10,000m³以上) 両方を並行活用(受入先を複数確保)

自治体ネットワークは「地域の農地整備・公共工事との連携」に強みがある。民間マッチングは「速度・選択肢の多様性・記録管理」に強みがある。両者を組み合わせることで、搬出先確保の成功率が高まる。


まとめ

自治体の建設発生土ネットワークは、地域内の公共-民間連携で残土の有効活用を促進する仕組みだ。農業委員会との連携が強い自治体では、農地整備への搬入につなげやすいという強みがある。

活用のポイントは3点だ。

  1. 施工現場の所在自治体に「発生土情報ネットワーク」があるかを事前に確認する
  2. 自治体ネットワークで受入先が見つからない場合は民間マッチング(ツチオク)を並行活用する
  3. 農地整備・農道整備への搬入を検討する場合は農業委員会への早期相談が有効

搬出先確保の手段を1つに絞らず、複数のルートを並行して活用することが、受入先確保の確実性を高める。



免責事項: 本記事は一般的な情報提供を目的としており、法的助言の代替となるものではありません。建設発生土の処理に関する法令対応については、最新の法令・行政通知を確認の上、弁護士・専門家または所管官庁(国土交通省・都道府県建設担当部局等)にご相談ください。