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建設発生土の受入基準の読み方【名古屋市・愛知県の基準値を比較】

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建設発生土の受入基準の読み方【名古屋市・愛知県の基準値を比較】

建設発生土の搬出先を探すとき、受入側から必ず聞かれるのが「土質区分は何か」「試験成績書はあるか」だ。同じ土でも、受け入れ側が公共工事の埋戻材なのか、改良土プラントなのか、路盤材の製造原料なのかによって、要求される基準はまったく違う。

この記事では、排出側の建設会社が押さえておくべき受入基準の読み方を、国交通省・名古屋市・愛知県の公開基準(一次資料)に基づいて整理する。


目次

  1. すべての出発点――国土交通省「発生土利用基準」の土質区分
  2. 受入側が見る主要指標(コーン指数CBR・粒径・細粒分)
  3. 受入先ごとに基準は違う――国・名古屋市・愛知県あいくるの比較
  4. 搬出前の実務チェックリスト
  5. 名古屋・愛知エリアの受入先事情
  6. まとめ

1. すべての出発点――国土交通省「発生土利用基準」の土質区分

建設発生土の受入基準を読むうえで最初に押さえるべきは、国土交通省「発生土利用基準」(平成18年8月10日付通知)が定める土質区分だ。発生土は原則としてコーン指数と土質材料の工学的分類を指標に、次の5区分に分けられる。

区分 コーン指数 qc(kN/m²) 主な土質
第1種建設発生土 規定なし 砂、礫及びこれらに準ずるもの
第2種建設発生土 800以上 砂質土礫質土及びこれらに準ずるもの
第3種建設発生土 400以上 通常の施工性が確保される粘性土及びこれらに準ずるもの
第4種建設発生土 200以上 粘性土及びこれらに準ずるもの(第3種を除く)
泥土 200未満 高含水比の粘性土、有機質土、高有機質土など

ポイントは3つある。

  • 改良土は改良後の性状で判定される。 たとえば第4種建設発生土や泥土をセメント・石灰で安定処理し、コーン指数400kN/m²以上に改良すれば「第3種改良土」として扱われる。区分は固定ではなく、処理によって上げられる。
  • 含水比が上がると区分は下がる。 同基準は、降水や浸出地下水により含水比が増加すると予想される場合は1ランク下、水中掘削等による場合は2ランク下の区分とすることを注記している。掘削時期や排水計画が受入可否に直結する。
  • 区分ごとに適用用途の目安がある。 同基準の適用用途標準では、工作物の埋戻し・道路用盛土・河川築堤・宅地造成などの用途別に、そのまま使えるか(◎)、土質改良すれば使えるか(○・△)、改良しても不適か(×)が整理されている。第1種・第2種はほぼ全用途で高評価、泥土cは埋戻しや路床では×だ。

区分の詳しい違いは第1種〜第4種建設発生土の違いで解説している。


2. 受入側が見る主要指標(コーン指数・CBR・粒径・細粒分)

受入基準に登場する指標は多いが、実務で押さえるべきは次の5つだ。

コーン指数(qc)

締め固めた土にコーンペネトロメーターを貫入させて測る強度指標(JIS A 1228)。試料を3層に分け、各層25回突き固めて供試体を作るのが標準だ。土質区分の判定と、改良土の品質確認の両方に使われる。ランマーによる突固めができないほど軟らかい土は、その時点で泥土と判断される。

CBR(路床・埋戻材の支持力)

路床や埋戻材としての支持力を評価する指標(JIS A 1211)。後述するとおり、名古屋市は埋戻材として使う建設発生土にCBR値の下限を設けている。

修正CBR(路盤材の指標)

舗装の路盤材料に要求される締固め状態での支持力を評価する指標で、試験方法は舗装調査・試験法便覧(E001)による。再生砕石や改良路盤材の受入・出荷規格では、この修正CBRが中心的な合否ラインになる。なお受入現場では、締固め直後に水浸させずに測る「即時CBR」で施工性を確認する運用もある。

最大粒径

発生土利用基準は、土質材料の工学的分類体系における最大粒径が75mmと定められていることを前提に区分を運用する。ただし受入先ごとの仕様ではさらに厳しく、名古屋市の埋戻材規格では50mm以下だ。転石やコンクリート塊まじりの土は、この段階ではじかれる。

細粒分含有率(75μmふるい通過分)

粒径75μm以下の細粒分がどれだけ含まれるか。細粒分が多いほど水を含みやすく締固めが難しくなるため、埋戻材・路盤材の規格では上限が設けられることが多い。


3. 受入先ごとに基準は違う――国・名古屋市・愛知県あいくるの比較

同じ「土を受け入れる基準」でも、何のための基準かによって要求水準は大きく異なる。一次資料で確認できた基準を並べる。

基準 対象 主な要求値
国交省「発生土利用基準」 発生土を建設資材として利用する場合の全国共通の目安 コーン指数による5区分(第2種800以上/第3種400以上/第4種200以上/泥土200未満)と用途別の適用標準
名古屋市「埋戻材として利用する建設発生土及び改良土特記仕様書」(令和8年4月)建設発生土 緑政土木局所管工事等の埋戻材 第1種・第2種建設発生土であること/発生土CBR 8%以上(公園緑地用は3%以上)/最大粒径50mm以下/75μmふるい通過分25%以下/木片・金属片・コンクリート塊等の異物を含まない
同仕様書 改良土 同上(土質改良プラント製造の改良土) コーン指数800kN/m²以上/標準CBR 10%以上/細粒分25%以下/最大粒径50mm以下/出荷時含水比は締固め度90%相当以下/土壌溶出量・含有量基準に適合
愛知県「あいくる」再生路盤材 評価基準(別表2、令和7年3月19日最終改定) 県の公共工事で使う認定リサイクル資材(舗装用路盤材) 修正CBR:再生粒度調整砕石80以上・再生クラッシャラン30以上(アスコン再生骨材を含む場合はそれぞれ90以上・40以上)/PI:4以下・6以下/規定粒度への適合

この表から読み取るべきことは3つある。

第一に、埋戻材のハードルは「区分+物性」の二段構えだ。 名古屋市の埋戻材規格は、土質区分(第1種・第2種)だけでなく、CBR・粒径・細粒分の物性値まで求める。第3種・第4種相当の粘性土は、そのままでは市工事の埋戻材にならず、土質改良を経て改良土の規格(コーン指数800kN/m²以上)を満たす必要がある。

第二に、路盤材の世界は要求水準が一桁上がる。 埋戻材のCBRが8%以上なのに対し、舗装の上層路盤に使う再生粒度調整砕石は修正CBR 80以上。発生土がそのまま路盤材になることは基本的になく、破砕・粒度調整・安定処理を経た「製品」としての規格だ。あいくるの再生路盤材基準では、粒度調整のために加える材料として国・愛知県・県内市町村の公共工事から発生した残土の使用が認められており、その場合も残土の発生場所の明確化と受入記録の管理、土壌汚染の懸念がないことが条件とされている。受入側が搬入元の証明書類にこだわるのは、こうした認定条件を維持するためでもある。

第三に、環境基準は全受入先に共通する。 名古屋市の仕様書もあいくるの評価基準も、土壌汚染対策法に基づく特定有害物質の溶出量・含有量基準への適合を求めている。土質がどれだけ良くても、汚染の懸念がある土地からの発生土は受入の入口で確認対象になる。

なお名古屋市の仕様書では、使用数量が100m³未満の場合は品質試験を省略できる規定もある。小規模工事では受入側との協議で書類負担が変わるため、数量の伝え方も重要だ。


4. 搬出前の実務チェックリスト

排出側の建設会社が搬出前に確認すべき項目を整理する。

  • 土質区分の当たりを付けたか。 設計図書・地質調査結果から区分を推定し、必要ならコーン指数試験(JIS A 1228)を手配する。改良土として出すなら改良後の試験値が判定基準になる。
  • 含水比のリスクを見たか。 雨天掘削・湧水・水中掘削は区分を1〜2ランク下げる。搬出時期と排水計画で受入可否が変わる。
  • 異物を分別したか。 木片・金属片・布・コンクリート塊・アスファルト塊の混入は、名古屋市の埋戻材規格では明文で不可。現場での分別が受入の前提になる。
  • 粒径オーバーの転石を除いたか。 埋戻材なら最大粒径50mm以下が目安。ふるい分けの要否を事前に判断する。
  • 土壌汚染の懸念を確認したか。 汚染の要因を有すると想定される土地からの発生土は、土壌汚染対策法の指定基準への適合確認が必要になる。
  • 受入側の要求書類を確認したか。 土質試験成績書・発生場所の証明・搬入記録など、受入先タイプによって要求は異なる。数量(100m³未満かどうか)で試験の要否が変わる場合もある。

受入先選びの具体的な進め方は残土ストックヤードの選び方にまとめている。


5. 名古屋・愛知エリアの受入先事情

名古屋市は、市所管工事で使用する改良土を製造する土質改良プラントを認定する制度を持っており、令和8年4月時点の特記仕様書には4つの認定プラント(名西ソイルリサイクルプラント、名南改良センター、名古屋北部土質改良センター、MEIHOKU改良土センター)が利用可能区とともに掲載されている。市内の公共工事では、区ごとに利用できるプラントが指定される運用だ。

つまり名古屋エリアの発生土の行き先は、大きく分けて「公共・民間工事の埋戻材や盛土材として直接利用される経路」と「認定プラント等で改良土・再生資材に加工される経路」の2つがあり、どちらの経路に乗るかで要求される試験項目も書類も変わる。第1種・第2種相当の良質土は直接利用の需要が厚く、第3種以下の粘性土は改良プラント経由が現実的な選択肢になる。

問題は、排出側から見て「どの受入先が、いつ、どの区分の土を、どんな条件で受け入れるか」が見えにくいことだ。ツチオクは建設発生土・残土のマッチングプラットフォームとして、排出側の土質・数量・時期と受入側の条件を突き合わせる場を提供している。土質区分や試験成績書の情報を出品時に整理しておけば、受入側との条件交渉は格段に速くなる。名古屋を含む県内の受入動向は愛知県の残土・建設発生土エリア情報も参考にしてほしい。


6. まとめ

  • 建設発生土の受入基準の共通言語は、国交省「発生土利用基準」の土質区分(コーン指数による5区分)。まずここから読む
  • 埋戻材・改良土・路盤材では要求水準が段違い。名古屋市の埋戻材はCBR 8%以上・最大粒径50mm以下、改良土はコーン指数800kN/m²以上、あいくる再生路盤材は修正CBR 30〜80以上が合否ライン
  • 含水比・異物・粒径・土壌汚染は全受入先共通のチェックポイント。搬出前の準備が受入可否と価格を決める
  • 受入先ごとの基準の違いを踏まえて搬出計画を立てれば、処分費のかかる経路から利用価値のある経路へ土を動かせる

基準を読み解く手間は、そのまま処分コストの差になって返ってくる。搬出前の土質確認から始めてほしい。