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河川工事の堆積土砂と発生土|浚渫土の有効活用ルート

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河川工事の堆積土砂と発生土|浚渫土の有効活用ルート

河川の浚渫工事・護岸工事で発生する堆積土砂は、一般的な建設発生土と同じ土砂であっても、法令上の扱いが異なる場合がある。「廃棄物」になるのか「土砂」として再利用できるのかによって、処理コストが大きく変わる。

本記事では、河川工事の堆積土砂の法令上の位置付け、農地・造成への有効活用ルート、処理コストの削減方法を解説する。


目次

  1. 河川工事で発生する土砂の種類
  2. 浚渫土砂の法令上の位置付け
  3. 農地・造成への活用が可能な条件
  4. 有効活用事例
  5. 浚渫土砂の処理コストの目安
  6. 搬出先確保のための事前準備
  7. まとめ

1. 河川工事で発生する土砂の種類

河川工事では主に以下の種類の土砂が発生する。

浚渫土砂(堆積土砂の除去) 川底・ダム堰堤・港湾・漁港等に堆積した土砂を除去したもの。粒度は流域の地質条件によって砂・シルト・粘土が混在することが多い。有機物・重金属等の汚染を含む場合がある(特に都市河川・工業地帯付近)。

護岸工事の掘削土砂 護岸・堤防の基礎部の掘削で発生する土砂。河川の堆積土砂とは異なり、比較的明確な土質区分になることが多い。

河川改修工事の切土 河道拡幅・線形改良の際に発生する土砂。切土量が多い場合は通常の建設発生土として扱い、盛土材等に再利用できる場合がある。


2. 浚渫土砂の法令上の位置付け

浚渫土砂の法令上の扱いは、以下の要素によって決まる。

廃棄物か有価物(土砂)か 廃棄物処理法上、物が「廃棄物」か「有価物」かは「占有者が自ら利用し、または他人に有償で売却できるものは廃棄物でない」という客観的基準で判断される。

浚渫土砂については、以下の場合に廃棄物と判断されやすい。

  • 買い手・引取先が見つからない場合
  • 汚染(重金属・有機物)が確認された場合
  • 脱水・処理コストが「有価物の価値」を上回る場合

逆に、農地・造成への利用先が確保されていれば、有価物(再生材)として扱える場合がある。

港湾・漁港の浚渫との違い 港湾法・漁港漁場整備法に基づく浚渫工事では、国土交通省・農林水産省の指針に基づき、汚染判定調査(底質環境基準との比較)が義務付けられている。基準値超過が確認された浚渫土砂は廃棄物として処理する必要がある。


3. 農地・造成への活用が可能な条件

河川の堆積土砂・浚渫土砂を農地・造成に活用するための主な条件は以下の通りだ。

土質の確認

項目 農地への活用基準の目安
粒度 砂〜ローム主体が望ましい(粘土過多は排水不良の原因)
有機物含有率 過度な有機物は嫌気的分解で問題になる場合がある
重金属含有量 農用地土壌汚染防止法の指定基準以下(カドミウム等)
pH おおむね5.5〜7.5(農作物の生育条件)

農地への搬入手続き 農地への土砂搬入は農地法の適用を受ける。農地を維持したまま嵩上げ・客土するだけであれば農地法上の転用許可は不要だが、農業委員会への確認・届出が求められる場合がある。

汚染の調査 都市河川・工業地帯付近の浚渫土砂は、土壌汚染対策法・農用地土壌汚染防止法の基準と比較した汚染調査が不可欠だ。基準値超過が確認された場合は農地・造成への利用は禁止される。


4. 有効活用事例

事例1: 農業用水路の浚渫土砂を水田の客土に活用(愛知県西部) 農業用水路(灌漑水路)の定期浚渫で発生した砂〜ローム混合土砂を、近隣の水田の客土(地力向上のための土砂添加)として搬入した事例。汚染調査(カドミウム・砒素等)を実施し基準値以下を確認した上で農地に搬入した。

約1,800m³の浚渫土を処分場に搬入せず農地活用し、処分費を約160万円削減。農地側では土壌改良コストを削減できた。

事例2: 河川改修の掘削土砂を近隣の宅地造成に活用(岐阜県) 県管理河川の護岸改修工事で発生した掘削土砂(砂礫混合・第2種発生土相当)約5,500m³を、工事現場から3kmの宅地造成工事に盛土材として搬出した事例。

受入費0円・搬送費のみの取引が成立し、処分場搬入と比較して搬出コストを約420万円削減した。土質試験(CBR・含水比)の結果を受入先の設計会社に提示し、品質確認後に搬入合意した。


5. 浚渫土砂の処理コストの目安

浚渫土砂の処理方法によって、コストが大きく変わる。

処理方法 費用の目安(1m³) 適用条件
農地・造成への活用 搬送費のみ(2,000〜5,000円) 汚染なし・受入先確保済み
脱水処理後に再利用 脱水費3,000〜6,000円+搬送費 含水比が高い土砂
陸上処分場への搬入 受入費2,000〜5,000円+搬送費 受入先が見つからない場合
廃棄物として処理(汚染あり) 10,000〜50,000円以上 汚染基準値超過の場合

農地・造成への活用が実現できた場合と廃棄物処理の場合では、1m³あたり数千円〜数万円の差が生じる。処理コストに与える影響が大きいため、汚染調査と受入先確保を早期に進めることが重要だ。


6. 搬出先確保のための事前準備

河川工事の発生土・浚渫土砂の搬出先を確保するためには、以下の準備が有効だ。

土質情報の整備 受入先は土質データを基に受入判断を行う。事前に粒度試験・含水比・汚染分析結果を整備しておくことで、問い合わせへの対応が迅速になり受入先候補の検討が進む。

発生量と発生時期の確定 発生量(m³)と搬出開始〜終了の時期を具体的に提示することで、受入先が受入計画を立てやすくなる。「○月から○m³/週のペースで搬出可能」という情報が受入先の意思決定を早める。

汚染調査の実施 農地・造成等への活用を目指す場合は、工事着工前の段階で汚染調査(底質環境基準・土壌汚染対策法基準との比較)を実施する。汚染がないことが確認できると受入先候補が広がる。

ツチオクでは浚渫土砂・河川工事発生土も出品対象として登録できる。土質区分・発生量・搬出時期・汚染調査結果を登録することで、受入先からの問い合わせ・入札が集まる仕組みになっている。


まとめ

河川工事の堆積土砂・浚渫土砂は、廃棄物か有価物かの判断が法令コストに大きく影響する。農地や造成工事への有効活用を実現するためには3つの条件を満たす必要がある。

  1. 汚染調査で基準値以下を確認する(農用地土壌汚染防止法・土壌汚染対策法)
  2. 農地搬入の場合は農業委員会への確認・届出を済ませる
  3. 受入先を工事着工前に確保し、土質データを提示して合意を取る

これらを整えた上で受入先と合意することで、廃棄物処理に比べて大幅にコストを削減できる。