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トンネル工事の発生土活用事例|大量残土の処理と地域貢献

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トンネル工事の発生土活用事例|大量残土の処理と地域貢献

高速道路・新幹線・山岳道路のトンネル工事では、1工事で数万m³から数十万m³の発生土が出る。この大量の残土を適切に処理・活用することは、工事コストの管理と地域環境の保全の両方に直結する重要課題だ。

本記事では、山岳トンネルとシールドトンネルの発生土の特性の違い、大量残土の処理・活用ルート、地域貢献につながる活用事例を解説する。


目次

  1. トンネル工事の発生土の特徴
  2. 山岳トンネルとシールドトンネルの土質の違い
  3. 大量残土の処理・活用ルートと選定基準
  4. 地域農地・造成への活用事例
  5. 受入地確保の手続きと注意点
  6. 発生土情報の事前公開が受入先確保を早める
  7. まとめ

1. トンネル工事の発生土の特徴

トンネル工事の発生土(トンネル掘削ずり)は、一般的な土工事とは異なる特性を持つ。

土量の多さ 山岳トンネル(NATM工法)の場合、断面積30〜100m²×延長数百〜数千mで、1工事あたり数万〜数十万m³の発生土が生じる。この量は、通常の造成工事や道路工事とは桁が異なる。

岩盤土の多さ 硬質岩から軟岩・土砂地山まで、地山条件によって土質が多様だ。岩塊・礫を多く含む岩砕(がんさい)は、一般的な土工事の発生土と区別して扱われる。

搬出ペースの集中 掘削作業が進むと、連続的・計画的に発生土が搬出される。搬出先の受入能力が追いつかない場合、工事が止まるリスクがある。仮置き場(ストックヤード)の確保が重要になる。


2. 山岳トンネルとシールドトンネルの土質の違い

山岳トンネル(NATM工法) 山岳部や丘陵部を貫くトンネル。発生する土砂は地山の地質条件(花崗岩・安山岩・頁岩等)によって様々だが、岩塊・岩砕が主体になることが多い。

岩砕(ロック系)の特徴:

  • 粒径が大きい(最大300mm以上の岩塊を含む)
  • 含水比が低く、安定した物性
  • 盛土材・路盤材・コンクリート用骨材に利用可能なものがある

一方、断層破砕帯・膨張性地山(スメクタイト含有)では、高含水比・膨張性の土砂が発生し、利用先が限られる。

シールドトンネル(都市部) 都市部の地下を掘進するシールドトンネルでは、ローラーカッター・ビットで地山を切削し、泥水や土砂状で排出する。

泥水系・土圧系シールド工事の発生土:

  • 細粒分(粘土・シルト)が多い
  • 含水比が高い(泥状〜流動状)
  • そのままでは盛土材として使えない場合が多い
  • 脱水・固化処理が必要

シールドトンネルの発生土は、処理なしでは「建設汚泥」として廃棄物扱いになる場合があるため、廃棄物処理法との境界確認が不可欠だ。


3. 大量残土の処理・活用ルートと選定基準

トンネル工事の発生土の処理・活用ルートを選定する際の判断基準は以下の通りだ。

ルート 対象土質 コスト感 優先度
工事内流用(路体・路盤材) 岩砕・礫質土 搬送費のみ 最優先
近隣造成工事への搬出 第1〜第3種発生土 受入費低〜0円 優先
農地・里山の整備への活用 礫質・砂質・粘性土(改良後) 受入費低〜0円 優先
海面処分場・陸上処分場 全土質 受入費高 最終手段
産廃処理(泥状土・汚染土) 建設汚泥・汚染土壌 高コスト 必要に応じて

大量発生土の場合、単一の受入先で全量を吸収できないケースがほとんどだ。複数の受入先を組み合わせた搬出計画が必要になる。


4. 地域農地・造成への活用事例

事例1: 山岳道路トンネルの岩砕を農地の嵩上げ材に活用(中部地方) 山岳道路のトンネル工事で発生した岩砕約18,000m³を、近隣農家の圃場整備(農地の嵩上げ・均平化)に利用した事例。農地への搬入は農業委員会への届出が必要だったが、農地所有者と工事施工者の双方にメリットがあり、搬入費ゼロで18,000m³の処理を実現した。

農地への搬入では岩塊の最大粒径制限(耕作に支障のないサイズ)と石礫率の確認が重要だ。

事例2: 新幹線トンネルの残土を住宅造成の盛土材に活用(東海地方) 新幹線延伸工事のトンネルズリ(主に砂質土〜礫質土)を、近隣エリアの大規模住宅造成工事の盛土材として活用した事例。約42,000m³を搬入し、処分場搬入の場合と比較して搬出コストを1億円以上削減した。

事前に土質試験(CBR・締め固め試験)を実施し、盛土材としての品質を確認した上で受入先と合意した。工事のスケジュール調整が鍵となった。

事例3: シールドトンネル発生土の脱水処理後に法面緑化材として再利用(首都圏) 泥水シールドの発生土を脱水固化処理し、法面(道路の斜面)の緑化基盤材として活用した。泥水状のままでは廃棄物扱いとなるところを、適切な処理により建設発生土として利用した事例。


5. 受入地確保の手続きと注意点

大量の発生土を農地・山林・未造成地に受け入れる場合、以下の許可・届出が必要になることがある。

農地法 農地に土砂を搬入し形質変更を行う場合、農地法第4条(自己転用)または第5条(転用・権利移動)の許可が必要。許可なく農地に残土を搬入すると農地法違反(3年以下の懲役または300万円以下の罰金)。

森林法 保安林への残土搬入は原則禁止。林地への搬入は都道府県への届出(林地開発許可等)が必要な場合がある。

宅地造成及び特定盛土等規制法(盛土規制法) 2023年施行。一定規模以上の盛土(住宅地等に隣接する区域での500m²超など)には許可が必要。残土受入地の選定時に規制区域の確認が必要。

都市計画法 市街化調整区域内での土地形質変更には開発許可が必要な場合がある。

受入地の確保にあたっては、土地の法令上の区分を確認し、必要な許可を取得してから搬入開始することが原則だ。


6. 発生土情報の事前公開が受入先確保を早める

大量の発生土が発生するトンネル工事では、工事着工の6〜12ヶ月前から搬出情報を公開することで、受入先確保の競争力が高まる。

公開すべき情報の例:

  • 発生土量(m³)と発生時期・ペース
  • 土質区分(岩砕・砂礫・粘性土の内訳)
  • 搬出場所(現場住所)
  • 土質試験結果(CBR・含水比・粒度分布)
  • 汚染調査結果(土壌汚染対策法の要否確認)

ツチオクでは工事前の情報登録が可能で、受入先からの問い合わせ・入札を早期から受け付けられる。大型工事の場合、単一の受入先ではなく複数の受入先に分散搬出するプランを複数候補から選択することも可能だ。


まとめ

トンネル工事の発生土は量が多く土質も多様なため、処理・活用計画を工事計画と並行して早期に立案することが不可欠だ。

処理コスト最小化のポイントは3点だ。

  1. 岩砕・礫質土は工事内流用または近隣の建設工事・農地整備へ優先搬出する
  2. シールド工事の泥水系発生土は廃棄物との境界を確認し、必要な処理を行う
  3. 受入地確保の手続き(農地法・盛土規制法等)を着工前に完了させる

地域の農地整備・造成工事への活用は、処分コスト削減と地域貢献を同時に実現できる最良の選択肢だ。受入先の早期確保が、工事の円滑な進行と総コスト削減の両方に効く。